息切れ 呼吸困難
私たちは、日ごろ息をするということを意識することはほとんどありません。つまり無意識のうちに呼吸が行われています。もちろん、脳のなかでは体の必要に応じていろいろな過程を経た調節が行われています。
ところが、体が呼吸することへの要求が強いとか、呼吸器系、循環器系等に何らかの障害がある場合には、無意識下の調整は早晩ゆきずまって、意識の介入が始まります。こうして息切れ、呼吸困難がおこります。息切れと呼吸困難は特に区別なく使われている言葉ですが、それらの原因には、肺への空気の通り道に問題がある、肺が膨らみにくい、あるいは縮みにくい、肺の血管がつまっている、または縮んでいる、心臓が悪いため肺に血液が行かない、血液が充分にないか、あっても正常な成分でない、空気そのものに異常がある、気にしすぎるなど、いろいろな状態が考えられます。
特に、気管支喘息と心不全からくる心臓喘息とは症状が似ているけれど、治療法が全く異なるため、その診断には注意が必要です。
いずれにせよ肺の奥(肺胞といい、酸素を血液に受け渡すところ)に空気がたどりつけないか、空気が充分であっても酸素を運ぶ血液ないしヘモグロビンが不足している状態が考えられるわけで、これらを正確に診断するには、その息切れが、どういう時に(例えば農作業をした時、じっとしている時)、どの程度の強さの(少しの、あるいは強い)、どのくらいで(すぐに、あるいは何分ぐらいで)、どうなる(立ち止まる、座り込む、倒れる、等)といった症状、呼吸のパターン、チアノーゼの有無、神経の症状、心雑音などに加え、レントゲン、心電図、血液検査、心エコーなどの検査が必要です。
従って、息切れ、呼吸困難を少しでも感じる方はもちろん、血圧、不整脈、動脈硬化、糖尿病、高脂血症などの慢性の病気で医師にかかっている方も、かならず内科医の診察を受け、コントロールしてもらうようにお勧めします。