臨床研究部

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地域のための臨床研究と法医学の
エキスパートを目指して

田辺医院は、地元医療への還元と専門的な研究の推進を目指して、研究棟を設置し、臨床研究部を運営しています。この臨床研究部は、医学的な専門知識と科学的手法を駆使して、死亡した患者の死因を特定し、死因や病理学的な変化を詳細に調査しています。具体的な死因の判断や疾患の特定、病理学的な解釈などが行われ、死因究明に努めております。
個人開業医として、死亡解剖を行っている数少ない施設であり、愛媛県内はもちろん、全国でも当院のみが個人開業医として死亡解剖を実施しています。警察および海上保安庁からの依頼を受け、検死を行い、死因解剖の重要性と専門知識を地域社会に提供しています。
臨床研究部は、病理学者や法医学者など、医学的な専門家によって運営されます。私たちは解剖技術や病理学的な分析を通じて、死因の特定と医学的な知識の向上に努めており、法医学の専門家として、死因究明のための重要な役割を果たしています。
法医学というと死んだ人を診る学問と思われがちですが、今を生きている人に還元するためにできた学問なのです。死因究明において、過去の状況からだけでなく、現在の生活や状況からの視点を大切にし、生きている人の健康と安全を守るための知識を提供しています。法医学の役割は、死者を診るだけでなく、生者の健康を守ることにもあるという理念を大切にしています。
当院では、臨床と研究の両面で医学的な解明を行うことで、公正で正確な医学的判断を提供し、法律上の案件に対応しています。臨床研究部を通じて、地域社会への貢献を実現し、医療の向上と健康増進にこれからも努めて参ります。

【死因究明の手順】

手順1

:異状死体の覚知とAi施行の決定

異状死体を警察が覚知すると、警察官や検視官が場面に立ち会い、事件性の有無やAi施行の要否を判断します。Aiの施行は検視官の判断に基づいて行われます。

手順2

:Aiの施行と迅速検査

Aiを必要と判断された場合、専用施設に遺体が搬送されます。Ai施行可能施設では、遺体をCTスキャンによって全身を撮影し、解剖施行前に画像診断を行います。また、迅速検査を行い、特定の生化学検査を用いて血液の情報を収集します。

手順3

:死因判断と報告

Aiの結果や迅速検査、遺体の所見、状況などを総合して、死因や死亡時刻を判断します。これに基づいて死体検案書が作成され、死因や状況が報告されます。

Ai(オートプシー・イメージング=死亡時画像診断)とは…

CTやMRI等の画像診断装置を用いて遺体を検査し、死因究明等に役立てる検査手法であり、死因情報について遺族や社会の「知る権利」を具現化するために必要不可欠なものです。また、AI技術も同様に、死因情報を開示する要求に応え、遺族や社会のニーズに対応するために活用されるべきだと考えます。

【施設の特徴】

特徴1

:Ai専用施設

この施設はAiに特化しており、独立した建屋で遺体のCTスキャンが行われます。24時間稼働可能であり、専門的な画像診断を提供します。また、超音波や内視鏡も使用されることがあります。

特徴2

:迅速検査と臨床判断

迅速検査によって生化学的な情報を収集し、死因判断に活用します。ただし、Aiや検査結果だけでなく、状況や環境捜査、問診、遺体の検案なども総合的に考慮されて臨床的な判断が行われます。

特徴3

:統計情報

施設内でのAi施行による死因判断の結果を振り返ると、循環器疾患の割合が減少し、脳血管疾患の割合が増加していることが示されます。また、迅速検査によって複数の疾患が特定されたことも報告されています。

この臨床研究部は、先進的な技術と臨床的な判断を組み合わせて死因究明を行う施設であり、医学的な知識と科学的な手法を駆使して患者の死因を明らかにし、医療の向上に貢献しています。また、従来の検視や迅速検査と組み合わせて、総合的な診断を行うことが強調されています。

【検視・検案・検視録】

2009年 :
検視・検案・検視録 入力ソフトを作成
2011年 :
東日本大地震の際に無償提供